今日、日経をパラパラやっていると、江戸川大が7月から業務を完全委託するという記事が目にとまった。今や自然の流れとなったこの動きであるので、これまで9人の職員で運営されていた小さな大学ですら外部委託するのかと、そう思っただけだ。図書館情報学科をもつ慶応ですらマネージメントを委託していないだけで、事実上外部で運営されているといっていいだろう。養成機関みずからが司書を非効率とし、その専門性もあわせて否定しているといって良い。ただ、実際そのとおりだから大きな声で反論できない。そもそもが図書館に存在する業務というものは、民間のサービス系企業に勤めている人なら誰でも気負いなくこなしているレベルの業務である。
開館時間延長にしても、土日開館にしても、ネックなんて職員の反発以外ありえない。安易なサービス拡大路線はは質の低下につながると、問題をすりかえて長々と抵抗してきただけだ。気が付けば外部委託と配置転換が待っていて、自治体の図書館でも私大図書館でも、職員が今まで自分で首をしめてきたわけである。
私自身がどうかといえば、自分で選択して入った図書館の世界なので、休み無しで働けといわれてもさほど抵抗ない。学芸員でも司書でも、こういう仕事はまじめにやると給料に合わなくなるのは当然だと思っている。別に仕事が早く終わって、夕方から声楽を習うことができるなと思って図書館に入ったのではない。
結局、大学当局、自治体当局が図書館運営を外部に委託するのは、我々と我々の先輩の仕事が大して社会に貢献しなかったからである。図書館が社会に貢献していないというのと同義である。無料貸し本屋の店番を、なにも高給取りの公務員や私大事務職員で賄う必要なんてないのである。重要な業務であれば誰がマネージメントまで外部委託するであろうか。少なくとも日本人にその度胸はまずないと言っていい。
ちょっと英語文献を読んだり、ちょっと古典籍に造詣があれば一目置かれるような世界である。事実、職場の友人知人にスゴイと思う人はいるけれど、公募すれば図書館以外の世間に彼ら以上の人がみつからないとは思えない。
つくづく司書の専門性と図書館の仕事ってなんだろうと思うのである。つい先ごろまでは国立の図書館情報学の単科大学があったはずで、つまり、学問領域として存在するほどのものであるかということである。職業訓練校というのであれば分かる。